

この作品を思いついたのは、2019年2月にツアーでエジプトへ行ったことがキッカケでした。
いや、エジプトでは別にベリーダンスとか見たワケじゃないんですけど、飛行機がエミレーツ航空でカイロへ行く経由地がアラブ首長国連邦のドバイだったんですよ。当然、往復ともドバイ国際空港で乗り継ぎの待ち時間があるわけですが、トランジットでほんの2~3時間の滞在なので外に出るわけにはいきません。
ただ、そのとき「中東もいずれ観光したいな」と思い、「中東=アラビアンナイト=アラビアンな話」という連想でアイデアが閃き、そこから「アラブならベリーダンスが使えるんじゃね?」と連想が続きました。
ベリーダンス自体は有名ですが、あの扇情的な衣装の割に、意外と官能小説とガッツリ絡めた作品はないはずです。私が昔、「かてきょ」という作品を書いたとき、ちょこっと使っていましたが、あれはベリーダンスそのものではなく衣装を使いたかっただけですからね。
そうして、担当氏に「ベリーダンスもの」という形でアイデアを提示したわけです。
本当は、もう1つ別のネタも考えていたのですが、2つを提示したときベリーダンスを優先しよう、という話になりました。
余談になりますが、その後もう1つのアイデアについては似た話が
ラブロマン文庫で出てしまったので、こちらは当面ペンディングか完全却下ということになるでしょう。
さて、「ベリーダンス」というコンセプト自体には担当氏からOKをもらえたのですが、キャラとストーリー作りには難儀しました。
最初は、トルコからの留学生をヒロインにすることも考えたのですが、これは担当氏から却下されました。やはり、ヒロインは日本人がいい、ということです。
とはいえ、全員日本人でベリーダンスを踊るというのもどうか、ということで、日本人とトルコ人のハーフというキャラを出すことは決まりました。
あとは、もう3人考えなくてはならないということで、かなり悩んだのですが、処女メインヒロイン、処女サブヒロイン、人妻サブヒロインの組み合わせは一番妥当だろう、と思って、早い段階から組み立てましたね。
そうして、ヒロインの大まかな属性は決めたものの、次に問題となるのはストーリーです。
最初は、主人公を大学生にして、ベリーダンスショーがあるトルコ料理店でアルバイトをする、というストーリーを思いついたのですが、私はだいたいいくつかのストーリーパターンを考えて担当氏に提示するので、そのためにさらなるパターンを捻り出すことにしました。
ちょうど、そんなことを考えている最中に、福島のスパリゾートの広告を目にして、調べてみたら周辺の温泉郷が「フラダンスの町」として地域を挙げてフラダンスに取り組んでいることを知りました。で、「これも使えるんじゃね?」と考えたワケですね。
舞台となる場所をどこにするかは悩みましたが、「ここらへん」という想定はしたものの実際に行ったことがあるところではないため、「合積町」という架空の町を作り上げました。架空なので、駅前のこととかは完全なフィクションです。
そんな感じで、「過疎化が進む町で、ベリーダンスで町おこしをすることになる」という基本コンセプトを作り、他の案とともに提示したところ、この案にOKが出たので、それをベースにプロットを本格的に作ることになりました。
ちなみに、春人と美由紀が高校時代に卓球部だった、という設定には、あまり深い意味はありません

単に、私が高校時代に所属していた高校の卓球部が、男女とも人数不足で一時は廃部になるんじゃないか、というくらい人がいなかったことがあったので、その頃の記憶を呼び起こしつつ設定しただけです。
もっとも、男女合同での練習なんて、ほとんどやりませんでしたがね。もっとやっておけばよかった、という後悔が本作の設定ににじみ出たかも?

なお、通常はメインヒロインを最初にしっかり固めるのですが、本作はやはりベリーダンスが深く関わるため、ミライの設定を真っ先に考えました。
トルコ人の名前を調べて、「ミライ」という名があるのを見つけたときは、「これだ!」と手を叩きましたね。
トルコ料理店「リュヤー」は、とにかく実在しない店名ということで、ミライの名前を調べているときついでに思いついた感じです。
ただ、ミライの言葉遣いは、本編を書いているときかなり変えました。プロット段階では、普通の日本人と変わらない感じにしていたのですが実際に文章にしてみると特徴が乏しく思えたのと、日本語が堪能なトルコ人と現実に話してみて、やはりアクセントなどの違いを感じたんです。そのため、朱入れ1回目の段階から語尾や一人称を片仮名に変えました。その後、どこまでを片仮名にするか、ちょっと悩みましたが。
他のキャラについては、ほぼプロット段階のままです。
さて、このプロットを書いているとき、やはりベリーダンスやトルコ料理のことをあれこれ調べていたのですが、そうするとブルーモスクやカッパドキアといったトルコの古代遺跡の情報も自然に入ってきます。私は、高校時代まで古代遺跡が好きで、本気でそっちの道に進みたいと考えてもいました。大学の考古学科を受けたら、全部落ちたので諦めましたが(^_^; やはり、英語が大の苦手だったのが致命的でしたね。
それはともかく、実際にここ数年、海外に行ったのはカンボジア、ミャンマー、エジプトと、古代遺跡が売りの国ばかりです。そんな私なので、調べているうちにトルコへ行きたい衝動がムラムラと(笑)
また、本場のトルコ料理をあれこれ食べてみたい、ベリーダンスショーを見てみたい、という思いも抑えきれなくなり、ツアーですべての条件を満たすものを見つけて、とうとう申し込んだ次第です。
還付金詐欺に引っかかって大損していますが、これは純粋に取材だからOK!と、自分の中で割り切りましたね(^_^;
ただ、そうして12月上旬にほぼ1週間のツアー旅行に参加し、夢のような時間を過ごしたわけですけど、この旅行に行くまでに本当は書いておきたかったところまで到達できなかったことが、年末にドンと重くのしかかってきました。
本当に、一時は〆切に間に合わないんじゃないか、と冷や汗をかきましたよ。
ところが、年末に長兄が緊急入院する事態になって年末年始の予定があらかた吹っ飛び、仕事をしている以外にやることがほとんどなくなったことで、遅れを一気に取り戻せました。もちろん、長兄にとっては不運でしたが。
ちなみに、美由紀H2回目のカラオケボックスでのシーンは、朱入れ2回目まで「いったんベリーダンスを通しで踊りきって、休憩に入った美由紀の妖艶さに我慢できなくなった春人が手を出す」という流れでした。が、なんの弾みだったか、「そうだ。ここでも恥ずかしがらせたほうがいいんじゃね?」と思いつき、急遽、変更を加えました。結果、キャラがより引き立ったと自分では思っています。
さらに、智代の青姦シーンも、3回目の朱入れまで立ちバック+足上げではなく別の体位でした。こちらについても、変更したことで体位のバリエーションを増やせてよかったと思っています。
そんなこんなで、私にしては若干遅めながら、〆切より数日早く担当氏に原稿を送ることができたのですが……一難去ったと思ったら、また一難。
美由紀エッチ1回目に関して、かなりの書き直しを求められて、しかもスケジュール的な余裕がほとんどないという、恐るべき現実が。
いやもう、ちょうど振り込め詐欺に関する講演の打ち合わせや講演本番、しかも短編の〆切といったものもバッティングしている状態で、ゲラチェックをするだけでも大変なのに、大幅な修正ですからね。
結局、書き直す必要のある部分を抜いたゲラを先に送ってもらい、書き直した部分はそのあと送ってもらう、という綱渡りで、なんとか乗り切りましたよ。
ちなみに、「
恥じらいベリーダンス」というタイトルは、「ベリーダンスで町おこし」という話になった時点で、担当氏から正式タイトルにすることを伝えられました

編集会議で、あっという間に「これで行こう」という話になったようで

「仮」ではなく正式タイトルがこんなに早く決まったのは、初期タイトル案がそのまま採用された例を除いて(それでも当初は「(仮)」がついていましたけど)、記憶にありません(^_^;
そのぶん、「恥じらい」を強調して書かなくてはならなかったので、ちょっと苦労はしましたが、個人的にはいい作品になったと思っています。