アイドル強制操作~スマホで命令したことが現実に~
さて、本作はクリムゾンさんの漫画が原作ですが、催眠系が好きな人ならタイトルくらい一度は目にしたことがあるのではないでしょうか?
私自身、言いなり系のものを中心に書くようになって、ネタを探しているときに漫画版に出会い、「青獣の囁き: 今夜、女教師が僕の奴隷になる (フランス書院文庫)
」を書く際のヒントにもしました。
担当氏から、「この作品のノベライズをやりませんか?」と言われたときは、もちろん考えるまでもなく即決で引き受けましたね。
で、最初からオリジナルキャラを一人は入れることは条件としてあり、それは別に考えることにしたのですが、キャラ選定の際に私のほうから「黒羽みつを出したい」と真っ先にリクエストを出しました。
みつは、「クリムゾンガールズ」や「ヴァージントレイン」のキャラですが、スターシステムなら「アイドル強制操作」に出しても大丈夫だよね、と思った次第で。それに、クリムゾンさんの人気キャラですし、私自身も気に入っているので是非とも使いたかったのです。快諾いただけて、本当にありがたかったですね。
と、そこまでは比較的順調だったのですが、ストーリーのところでちょっとつまずきました。
実のところ、私としてはせっかくやるのであれば、原作漫画では攻略に失敗したアンリとオリエの攻略を成功させる、別世界の鎌田の姿を描きたいと考えていました。そのため、2つ作ったストーリー案の1つをこのバージョン、もう1つを通常の河里的な展開のものにして案を出しました。
言うなれば、「STEINS;GATE」や「僕だけがいない街」のように世界線を移動した鎌田が、記憶こそ維持していないものの人生をやり直す、というような感じにしたかったわけです。
しかし、この1案は却下され、結局2案をベースにオリジナルキャラを1人増やして作ることになりました。
とはいえ、鎌田が悪魔のスマホを手に入れるところから始めたわけで、基本は別の時間軸の話と思ってもらえれば。
オリジナルキャラの麻菜と聖美に関しては、最初は聖美を作り、もう一人オリジナルキャラにするとなったとき、クリムゾンさんのほうから出たアイデアをベースに麻菜のキャラを作りました。
ちなみに、麻菜は当初別の名前だったのですが、クリムゾンさんの他作品で同名のキャラがいるとのことで変更になった、という経緯があります。さすがに、全作品を把握していなかったので、これは私のミスでした。
聖美を、外面がいいのに本性はがさつ系という二面性のあるキャラにしたのは、クリムゾンさんの既存キャラと被らないように考えた結果です。
と、そこまではよかったのですが、ここで一つ問題が出てきました。オリジナルキャラ2人とみつを出すのは決まったものの、あと一人のクリムゾンキャラをどうするか?という点です。つまり、本来はアンリとオリエを出すつもりだった枠の内、片方は新たなオリジナルキャラで枠がうまるものの、もう一人をどうするか、ですね。
正直、これはかなり考えこみました。なにしろ、この段階で原作漫画のキャラが一人もいない状態なので、さすがにこれでは「アイドル強制操作」のファンにちょっと申し訳ないかな、と思った次第です。しかも、この段階でキャラの平均年齢が高めですからね。ここで女子アナとかグラドルとか出したら、平均年齢がさらに上がってしまって、美少女文庫の読者層から離れてしまいそうです。
そこで、麻菜の年齢や、みつも女子大生であることを踏まえて、「アイドル強制操作~学園編~」(単行本などでは「JKコントロール
」になっていますが)のあずさを出すことで、聖美との関連を作り、美少女文庫で違和感のない平均年齢にしたわけです。
こうして、当初の予定としては、3月発売を目指すつもりで執筆を開始しました。
しかし、本文を執筆を開始して少し経ったとき、老人ホームに入居していた母が意識不明になって緊急入院したことで、予定していたスケジュールは一気に崩壊しました。バイクで往復できる距離に住んでいる以上、意識がなくても実母の見舞いに行かないわけにはいきません。また、兄が近くにいるとはいえ、普通の仕事なので平日は見舞いに行けず、そこを埋める意味で私が一応は動かなくては、という事情もありました。自由業というのは、ここらへん融通が利きやすいので。
ただ、見舞いで往復すると半日潰れますし、何度か見舞っていればそれだけ原稿は遅れます。そう分かっていたので、母が入院して意識を取り戻す見込みが立たなくなった時点で、担当氏には「原稿、遅れます」と連絡を入れておきました。
結局、母は意識を取り戻さないまま1月の半ばになって帰らぬ人となり、そのあと葬儀やら老人ホームの片付けやらで時間を取られてしまって、けっこう大変でした。もっとも、そこらへんも計算に入れた上で再スケジューリングしておいた結果、再度の〆切はきちんと守れたのですけど。
そんな感じで、私事のために担当氏やクリムゾンさんにご迷惑をおかけしてしまい、本当に申し訳なく思った次第です。
また、クリムゾンさんには通常の2倍のイラストを用意していただき、感謝するばかりです。
執筆時の苦労は、とにかく母のことばかりが出てきてしまいますが、あとはクリムゾンさんの語録と言いますか、キャラのセリフに「クリムゾン語」とも言われるものを盛り込むことにも腐心しましたね。また、通常の私とは違う言葉の使い方なども(特にエッチシーンで)かなり意識しました。
なお、私は通常、男性キャラを描写するとき、名のほうを書きますが、今回は「鎌田」と姓のほうを使っています。これも、原作で「紐男」という下の名前がほとんど出てきていないことや、イメージ的に姓のほうが読む方もしっくりくるだろう、と考えた結果です。
クリムゾンさんのファンの方に、どこまで受け入れてもらえるか不安もありますが、イラストを含めて堪能して頂ければ幸いです。